劇場や舞台の音響設備の仕事をしているので、音には少しこだわりがあります。最近、ケーブルを介在しないワイヤレスイヤホンが広く普及し始めている。確かにケーブルレスなので、かさばることも無いし、持ち運びも便利と、利便性に関してはかなりのメリットがある。
しかし、ケーブルを交換(=リケーブル)することで音質に大きな変化が生じることを、敢えて今、お伝えしたい。様々なイヤホンが登場しているが、イヤホンとケーブルを離して使用できる製品が多く販売されている。最も大きいシェアを誇っているのは「mmcx」という型のもので、例えば「mmcx」対応のイヤホンであれば、「mmcx」対応のケーブルに付け替えて音を聴くことが出来る。そして、このリケーブルとよばれる作業による音質の変化が、実はかなり大きい。一般に、銅線のケーブルだったら低音域の厚みが増し、銀線のケーブルだったら高・中音域の煌びやかさが増す。また、金(Au)と銀(Ag)を合わせてつくられたオーグラインとよばれる最高級の線材や、比較的安価で高音質を実現する精密導体を用いた線材など、その種類は線材の組み合わせによって無限に広がる。ワイヤレスでは感じるコトの出来ない音質の変化を、リケーブルでぜひ感じて欲しい。